飯村 武二 


プロフィール(詳細版)

・1959年茨城県、涸沼川最上流域で生まれる

・川、山で遊びほうけ小学校時代の通信簿はオール3

・中学校では何故か優秀な方になる

・高専 機械工学科に入学

・会社員を転々とし、いつの間にか機械より電気が専門になる

・渓流の餌釣りを教わる

・1991年、フライフィッシングに夢中になる

・2000年、バンブーロッドを作り始める

・2002年からつるやハンドクラフト展に出展し、圏外、8位、3位となり

 製作については満足の域に到達したと自負。

・2004年、ルアーフィッシングに開眼し、ルアーロッドの開発を始める

・2009年、バンブーでも2ハンドがほしくなり11’3’’ 3PCを完成させテストを繰り返す

・2010年、北海道の虹鱒釣りにハマり、以後遠征にあけくれ同時に虹鱒専用ロッドMykisstを作りテストを繰り返す

・2011年、バンブースイッチロッドGraceone10’  11’3”が完成し販売開始

・2017年、虹鱒専用ロッドのテーパーをGraceone10’系統にすることによりキャストしやすいロッドが完成

・2018年、鯉竿完成

・2023年、タナゴ竿完成

・2026年、トルザイトリングをガイドに使用したロッドを販売開始

1. 幼少の頃

小さい頃から『魚とり』が好きだった。

家の前には、川が流れていた。今改めて見ると小さい川なのだが、あの頃はとても大きな川に見えた。

その川とは、涸沼川最上流部に位置し、主にアブラハヤ、カジカ、ウグイ、フナ、ウナギなどが生息していた。アブラハヤのことはニガンボ、ウグイはマルタと言っていた。

そんな中で一番の獲物は、何といても『ウナギ』。

仕掛けは、『下げ針』といって、1m位のタコ糸にハリを結びそこにドジョウをつけ、その反対側には30cm位にカットした篠に縛ったものだ。これを夕方、川や沢のいかにもウナギがいそうなポイントに仕掛け朝早く回収するのだ。すると10本のうち1~3本くらい掛かっていた。あの頃は沢山上ってきていて、夏の当たり前のご馳走だった。

 釣りは、物心ついた時からの遊びだった。篠を取ってきて、そこに仕掛けを結び、餌はご飯粒かうどん粉の練り餌、フナの場合はミミズなど使う。

ボーズなんて言うのは、ある訳なく、餌を投入すればアブラハヤがわんさか寄ってきて我先にと食らいつく。餌を食べたのを確認して釣り上げる、そんな釣りだった。

ニガンボ釣りは、当然飽きるのでやがてフナがメインとなり、年に1~2回父が連れて行ってくれた涸沼のハゼ釣りも楽しみだった。

川で遊び、山で遊び・・毎日が遊びの小学時代の通信簿は3ばかりだったが、なぜか中学での成績は悪くなく、国立高専に入学し寮に入ってからは、地元を離れたこともあり釣りはほとんどしなくなった。

 会社に入り、福島の浜通りに半年ほど行っていたときに、青森出身の先輩にヤマメの渓流釣りを教わる。先輩が先に釣り上がり、真似をして釣るのだが一向に当たりすら無い。

やっと釣れたヤマメは、飲み込まれており、偶然釣れたものだが感激したものだ。

釣れない原因も分かった。流し方やポイント選びが悪いのではなく、先輩が流した後丁寧に釣っていたからだ。今考えてみると、これも修行だったのか・・

2.再び釣りの世界へ

29歳で結婚し、その数年後子供が出来たころからK氏という釣り友ができ、これからの私を変えていくことになる。

彼とは週末ごとに渓流へ繰り出した。私はもっぱら餌釣りである。餌釣りは実によく釣れる。

彼も餌釣りをしていたが、何処かの渓でフライフィッシング(FF)という釣りを見たのがきっかけで道具をそろえた。

それを持って、私は餌釣り、彼はFF。私はバンバン釣れるが、彼はさっぱり釣れない。

それでも彼は、フライを変え黙々とキャストを繰り返す・・

『FFって、なんて釣れない釣りなのだろう』と私は内心思い彼の所に近づくと

「投げてみますか?」

釣れすぎる餌釣りに疑問を感じていた私は、投げてみることにした。

見様見真似で投げたフライが水面を流れていく。

じっと見つめる。

『ピシャ!!』

イワナがフライを咥えた!!

その瞬間、ロッドを立てる。

左手でラインを抑えていなかったため、フッキングには至らずイワナは釣れなかった。

この出来事が、FFの虜にしたのだ。

3.FFに夢中

 1991年の秋、私はキャスティングの練習を兼ねて8’6’’#6でシステムを組んだ。

空き地でキャスティングを練習し、ある程度釣りになると判断し、K氏とあるダム湖へ出かけた。そこで、初めて巻いたフライで釣れたのはブルーギル!

でも、うれしい一匹だ。

ただ、目指すは中禅寺湖の大物、50cmオーバーが目標だ。

その後、情報に振り回されながらも中禅寺湖に夢中になり、ひたすらボーズの道を歩むことになった。

中禅寺湖では釣れない、地元ではヤマメも釣れない・・

そんな中、山形のある川へ遠征。

そこでFFのパラダイスを経験することになる。

『いないところでいくら釣っても釣れないのは当たり前』

『FFとは、居れば釣れるものなのだ』と開眼した。

しかし、『そうでもないぞ』と中禅寺湖は私に語りかける。

やっと、50オーバーが釣れたのは、12回目だった。

フライはプロフェッサー#8のウエットの釣りだ。

それからは、渓流にウエイトを移したFFに没頭した。

4.テンカラの1年

そんな中、1年間だけテンカラに拘ったことがある。

キッカケは、図書館で借りた『山釣り』という本だった。

この本の中にテンカラの記述があったかどうかは記憶していないが、釣りと日本の自然を愛した山本素石の本を数冊読み、テンカラで1年を通してみようと考えたのだ。

今住んでいる茨城の渓流は、フライにはあまり向かないボサ川が多い。

酷い川へ行くと、ポイントの2割位しかフライを打ち込むこともできない。

しかし、テンカラにすると今までキャスト不可能だったボサの穴の中にもフライを打ち込むことができるのだ。フライを持ち、竿の先を曲げ飛ばすやり方でキャスト名はピンポイントキャストだったか正確には忘れたがテンカラでは簡単にできるのだ。

すると、今まで2割しかできなかった釣りが、なんと8割はできることになったのだ。

換算すると、2匹しか釣れなかったものが8匹釣れたことになる訳だ。

『テンカラという釣りは、なんて釣れるのだろう』と感心したものである。

テンカラの利点は、ピンスポットにキャストできることの他にはやはり、ナチュラルドリフトできる距離が格段に長いことだろう。

フライを長い距離、ナチュラル流せれば何の迷いもなくヤマメやイワナは飛びついてくる。

テンカラも1年が過ぎ、やはり釣れすぎることに飽きてきてしまうのだ。人間はなんて我儘なのだろうとつくづく思う。

5.やはりフライがイイ!

長いラインを華麗にキャストし、複雑な流れをメンディングでかわし、やっとの思いで釣り上げた1匹の嬉しさがフライフィッシングはイイのだ。

1997年ごろから、山釣りに夢中になる。先の本の影響もあるが、人にスレていない純粋無垢の岩魚に恋い焦がれたのだ。

まず、1/10万の道路地図を眺め林道が通っていない源流を見つけ、該当部の1/20000の国土地理院の地図を購入する。源流域は林道な無いことに加え、その下流部はゴルジュになっていることが条件だ。

川通しで遡行するのではなく、尾根を越えて源流部に行くのである。遡行では10時間かかる所を3時間で行くというような感覚だ。

山を越えてやっと到着した渓を見るときが一番こころ踊る。地図をみて何度も想像した心の中にある渓と現実に目の前に広がる渓。水が思ったより少なかったとしても落胆はしない。

すぐに行動することがある。何かって?

岩魚がいるかどうかだ。ポイントを見れば必ずと言って良いほど岩魚が浮いている。

日の光を浴びながら、ゆらゆらと泳ぐ岩魚の後ろ姿は、とても可憐で今までの疲れを癒してくれる。

 そのような場所が幾つかあるが、1959年生まれのこの歳になってしまった今となってはあのころのような冒険もできない。でも、心の奥底にあの渓の流れが今でも蘇る。朝日連峰のあの源流だ。

6.きっかけはパックロッド

 この頃、源流へ持って行ったロッドは、ダイワの5ピースのパックロッドだ。

このロッドは、バットが弱すぎてどうも調子が悪い。そこでバット部にスレッドを巻きエポキシ樹脂でコーティングすることにより強化した。ついでに、漆で色を染め自分だけのロッドに改造したのだ。

その経験から、ロッド作りに関心が湧き、長めのロッドがほしくなってきたのだ。

テンカラもできるような長さ・・ブランクを探した結果、ヘラ竿11尺を購入することにした。しかし、そのままではフライロッドには向かない。まず、ティップの先端をカットし#4に合うようにする。そしてガイド、グリップ、リールシートを取り付けて完成だ。

 最終的な長さは、バットもカットしたので10’である。この長さは、今まで不可能だった複雑な流れも簡単にナチュラルにフライを流すことができ、釣果も抜群にアップした。

 自分で作るという事は、『いろいろなアイディアを形にすることが出来る』という事だ。

自分がほしいロッドが無ければ作る。こんな簡単なことを今までしなかったことが残念でならない。

このロッドもさらにティップを購入し#5を作ってみた。使う場所は、中禅寺湖である。

#8ブラックジュンを結び、表層をハイスピードでリトリーブしてくると、ガツンとひったくってフッキングしたのは40cmもあるヒメマス。

ヒメマスは、素晴らしいファイターであっちへこっちへと暴れまわる。ネットにも一発で入ってくれる訳がない。ドキドキものである。

やっとネットに入ったと思うと、フライは口から外れていた。あまりのファイトでフックの刺さった穴が大きくなってしまったためである。危なかった。

ロッドが硬すぎて、魚を興奮させてしまうようだ。

7.自分がほしいブランクを作りたい!!

バンブーロッドに興味が湧いてきたのである。

『バンブーロッドはどのようにして作るのだろう』

今のご時世なら、ネットですぐに検索できるが、1998年の頃は、ネットも身近ではなかった。そんな中でも調べてみた。丁寧に作る工程をアップしてくれている人もいる。

バンブーロッドを作る過程で一番気になったのが、三角柱を作るプレーニングフォームの構造である。

そこで、手に入れたのがあの有名な本で表紙に「竹」と書いてある本である。

 A Master’s Guide To Building A Bamboo Fly Rod ギャリソンとカーマイケルの共著である。

この本は、竹割りから仕上げまでの製作工程の他にテーパーデザインについても書いてあり、ギャリソンは曲げモーメントと応力の関係式から六角形の対面幅を逆算している。

その過程を丁寧に記述してあるので、エクセルで計算できるようにして、条件を入力することによりテーパーを算出できるようにした。

こうすることにより、感に頼っていたものが数字として見ることが出来るようになったのである。

実際にバンブーロッドを作ったのは2000年になってからであり、それまでは機材の準備に徹し準備したのである。

初めて完成したロッドは、トンキン製であり2本のロッド。ロッドナンバーの中にあるローマ字は2000年をaとし、2001年がbというようにいつ作ったのかが分かるようになっている。ちなみに2002年、2003年、2004年と連続して東京のコンテストに応募し、

入賞圏外、8位入賞、3位となり、2004年には十分に販売できるレベルになっていたので1位は狙わないこととし、テーパー設計を極めることとした。

 このテーパー設計というものが、本当に難しい。完成というものがないというのが正直なところだ。これからも永遠に突き進めていくのだろう。

8.トンキン竹と真竹

 現在、真竹や淡竹といった和竹でロッドを作っている。

当初は、和竹との比較でトンキン竹のロッドも製作したが、日本に豊富にあることから地元産の真竹、淡竹を使うこととしたのだ。

 トンキン竹と真竹を比較すると、トンキン竹の方が硬い(強い、重い)これは、材質の違いであり、簡単に言えば真竹に比べトンキン竹の方がより長いロッドが作れるのである。

 では、真竹で作れる長さの最大は経験上12’だ。これは、鯉竿として作ったものであるが、フライ用としては、今のところ11’3’’としている。この長さであれば、ダブルハンドでありながら、軽くキャストしやすいのである。

また、真竹はトンキン竹に比べ強度的に弱いとはいえ、那珂川で11’3’’のスペイロッドで83cmの巨鯉を釣り上げているし、12’の鯉竿ではユーザーの方が1m近い鯉を釣り上げている。

強度的に問題なく、そしてトンキン竹よりも軽い真竹ロッドは、日本の素晴らしいフライロッドだと考えている。

 もちろん、シングルハンドロッドでも7’6’’以下であれば、かなりシャープなアクションのロッドが作れるのである。

9.ルアーフィッシングに開眼

 バンブーフライロッドを作り、納めていくうちにルアーの達人と出会うことになる。

この方にルアーフィッシングというものを教わったのだ。

初めて釣りに同行し、プリプリ動くミノーをヤマメは目の色変えて足元まで猛追し、食らいつく・・・

この光景を見たとき、ルアーフィッシングは、フライに無い未知のポテンシャルを感じたのだ。

 ルアーは『動』の釣り、フライは『静』の釣り・・その時はそう感じた。

多少語弊があるかも知れないが、ほぼ合っているのではと思う。

どちらが良いか?なんて論じるつもりはない。私は、両方とも大好きだ。

10.バンブーでルアーロッドを作りたい

 2004年、私はバンブールアーロッドを作ることにした。

まずは、トンキン製で長さは5’6’’2PCと5’8’’2PC

ロッドを作るうえで一番難しいのは、やはりテーパーである。

テーパーもさることながら、どれくらいのバットの太さが必要かが問題なのだ。

基準はフライロッドとし、ルアーロッドの長さ5’6’’でフライロッド換算で#7で設計してみた。

試作してみた結果、ルアーロッドにしてはベロンベロン、キャストも難しく、ミノーのアクションも緩慢となり、スプーン限定のようなロッドであった。

でも、56はすぐに買い手が付き、58は私が使ってみることにした。

確かにロッドが柔らかい分、アキュラシーに欠けキャストは難しいが、トンキンの硬さからヤマメを掛けてからのゴンゴンという引きを楽しむには最高であった。

このロッドは、今は鯉釣り師の手元で遊んでもらっている。

この後、材料を真竹に替え、6’6’’、7’6’’などを作り、着々とテーパーに磨きがかかり

Aim-Earlyfoxという名で、ルアーロッドが完成した。

基本は5’3’’ ミノーで2.5~5gの渓流バージョンである。

これの素晴らしい所は、感度である。

一時期、アジングに嵌ったことがある。その時、Earlyfox53+フロロ0.6号で釣っていたのだが、アジがワームを吸い込む感触を感度良く手で感じることができるのである。

後日、友人がアジング用に改造したチタンティップのロッドを持参し来訪してきた。

如何にも感度が良さそうなビンビンロッドである。

そこで、2gのミノーを結びテーブルの上に置き、目を閉じゆっくりリールを回す。

ミノーが微妙に転がった感触を比較するのである。

結果、明らかにチタンティップのロッドより、Earlyfox53の方の感度が高かったのである。

これには、私も彼もびっくり。

硬い=感度良いという事は、誰にでも予想できる当たり前のことである。

しかし、バンブーのアクションは、チタンティップのロッドに比べ柔らかい。

それなのに、感度が良いのである。

これは、バンブーのティップの太さ加減が大きく関係し、太過ぎず細すぎず・・

太過ぎれば、感度は上がるが魚を弾きやすくなる。

細すぎれば、感度が下がるが魚の食い込みは良くなる。

Earlyfox53は、その微妙なところを上手くとらえたロッドなので、感度が良く掛けた魚はバンブーのしなやかさでバラシ確率を最小にするロッドなのである。

2018年6月現在、その微妙なテーパーを確立したのはEarlyfox53だけである。

今、Earlyfox 60を本流で使用している。ティップがライトとヘビーの2本あり、釣ってはヘビーが断然面白い。40弱のヤマメを掛けた時、ロッドティップがゴンゴンゴン・・と凄まじく振動し、まるでロッドティップを回っている自転車の車輪の中に突き刺したような感覚であった。釣り心地は最高である。しかし、これではバンブーのしなやかさを活かしていない。

一方、ライトティップはというと、感度が今一、但しバラシはまず無い。中間の太さのティップは今後作るつもりでいるので、楽しみだ。

これで5’3’’と 6’0’’が完成するので、やはり大規模本流では6’では短くまた、18g位のスプーンを投げるにはちょっとパワー不足なので、6’6’’あたりで開発していきたいと思っている。

なお、60のパワーについては、激流の中で66cmの川スズキを6ポンドのナイロンで釣り上げたので、十分だと思っているので6’6’’あれば十分であると考えている。

11.真竹でスペイロッドを作る

2008年、私はスペイロッドに興味を持ち製作を開始した。

その切っ掛けは、県内最大河川である那珂川でとても親切なエキスパートWさんにスペイの面白さを教えてもらったからだ。

シングルハンドに比べダブルハンドであるスペイキャストは、バックがほとんどいらない、両手投げなので楽にキャストできる、大きなフライも楽に遠くに投げられる、そしてキャストが面白い・・など。

欠点は、ロッドが長いので取り回しや魚の取り込みが容易ではないことなどである。

 その頃、川での主流は17’や18’といった長く重い竿で思いっきり遠投するというスタイルが主であった。

真竹で17’のロッドはたわみが大きくなり無理なので、かなり短いがシングルロッド7’6’’ 2PCを3本にした長さの11’3’’ 3PC#8を作ることにした。

テーパーは、有名ロッドなどからおおよそのバット径を算出し、ティップの径を決めテーパーは、今までのルアーロッドのテーパーを利用して作り上げた。

2009年春には完成し、早速那珂川でエキスパートW氏に振ってもらった。ラインは、ガイドラインのシューティグスペイでボディ+ティップで8m/417grオリジナルである。

アンダーハンドでシュートすると、30ヤード程ビューンと飛んでいく。バットがグリップから曲がり、竿全体の力が飛距離を稼いでいると言って、竿に任せるだけで容易に飛んでいくとても良い竿だと言ってくれた。

この時、スペイキャストもできない私はこの『良い』という事の意味を知る由もない。

そんな私は、ティップが太過ぎるのではないかと幾分スローテーパーにした#7を作ってみた。

そして、友人に比べてもらった結果、#8が良いとすぐに2本の注文が入った。

私も、その良さを自分のものにしようと、キャス練に浸ったのである。

もちろん、実釣を兼ねているので中禅寺湖にも足を向けた。2011年の中禅寺湖ではホンマスが沢山釣れ、貴重なデータが得られた。

バラシがゼロ、遠くでフッキングしたものはもちろん、回収寸前ドスンと来たものまで確実にネットインできたのだ。ネットイン前にバラスほど悔しいものはないのだが、その悔しさを味わう事はなかった。バンブーのしなやかさの賜物であると考えている。

 #8ロッドは、使いこんだのでリニューアルしてエキスパートW氏に使ってもらい#7は私の釣りに使っている。この#7のパワーがまた凄いのだ。

2017年、那珂川で83cmの野鯉を背掛けのスレで釣り上げ、2018年には81cmのやはり野鯉をダンケルト(ウェットフライのひとつ)で釣り上げたのである。出されたバキングが食い込むように回収されていたのには驚いた。そういえば、野鯉にリールや竿を壊された人もいると聞いたが、野鯉のトルクは凄いのだ。

 他のダブルハンド(スイッチロッド)では、Aim-Graceone10’#5/6  3PCがある。

このロッドは、北海道のアメマス70UP用としてシングルライン#7相当として製作した。

11’3’’ほどの飛距離は稼げないが、中規模河川(北海道;利別川など)では手返し良く釣りが出来る手軽なロッドである。

現在のベストマッチのラインは、ボディ3.2m/240gr+ティップ3m/73grである。

ロッドを軽く振るだけで25ヤード程の飛距離を稼げるので、まさに釣るためのロッドである。これは11’3’’よりも人気のモデルである。私も、北海道では真っ先につなぐロッドがこれである。

12.北海道の虹鱒用専用竹竿を作る

 2010年、初めて北海道で野生の虹鱒を釣る機会を得た。

そのために虹鱒専用のロッドを作ることにしたのだ。

北海道の友人は、8’6’’~9’#4を使う。今風の張りのあるカーボンロッドである。

真竹でバンブーロッドを作るとすれば、釣り期間を1週間、手に豆が出来ない、50UPの大物にも対応できる強さ・・・このような条件を考慮すると7’6’’#4 2PCというスペックで製作することにしたのだ。

 完成したロッドを持って、いざ出撃!!と潔く行ったものの、ラインが伸びない。

伸びないので力む、力むのでオーバーパワーとなりループが乱れる・・

最後に友人のカーボンロッドを振らせてもらったら、簡単にビューンと飛んでいく。ラインはSAのシャークスキンという滑るラインを使い、リールはラムソンのライトスピードでドラグがスムーズなものだ。

私のラインやリールもさることながら、ロッドの出来損ないには笑えるほど酷いものだった。ラインを付けていない状態で振る分には、良いのだが、ラインを付けると途端にキャストが難しくなり、かなり気を使ってコントロールしないと綺麗なループになってくれない・・というバランスの悪いロッドだったのだ。完全な失敗である。

 50UPのネイティブをストラクチャーに潜られることなく止める・・頭の中にはこのキーワードが渦巻く。

そして完成したテーパーは、強靭なバットを持ちながらも繊細なティップというものであった。

バットは、太さの割には軽くするため中空構造を採用した。Aim-Mykisst765というロッドで当初の#4から#5に番手があがってしまったが、出来上がったロッドは、自分ではかなり満足していた。

ちなみにMykissは学名で虹鱒を意味する。

2011年、再び北海道に立ち1週間ロッドを振り続けた。

その結果、50UPの虹鱒との格闘はできなかったが、手に豆はできず1週間ロッドを振っても身体に負担は無いという事が分かった。7’6’’#5中空というのがひとつの基準となったのである。

 その後2015年、バットの強過ぎ気になってきたので、中実にして長さを思いっきり短い7’0’’ 3PCというロッドを作った。テーパーは今までのMykisstとは異なる10’のスペイロッドのテーパーを参考にしてみたのだ。

 その結果、ティップからバットにかけての負荷に対する曲りがスムーズな所謂プログレッシブなロッドが完成したのだ。

 2020年、友人の助言により6’0”#2 オイカワ用ロッドを完成させる。

 2023年、同じく友人たちの助言により、タナゴ竿(六角バンブー、コルクグリップ)

60、65、70、75、90cm;3PCを完成、販売開始

 2026年、Mykisst7’0”#5 3PC Puberty6’8”#3のガイドを従来のスネークガイドをやめトルザイトリングを使用(ガイドの耐久性の向上とラインの滑りが大幅に向上)

13.今後の展開

・トルザイトリングロッドの拡販

・タナゴ竿の拡販

2026.01記